アウトソーシングと雇用_内作・外作ネットワークの設計
問題意識としては、直接雇用だけが雇用なのか、という点。そして、結果的なぶら下がり社員の存在です。日本の失業率が低いのは社内に働かない社員を抱え込んでいるからに過ぎません。結果、生産性はアメリカの3分の2です。
これは社員一人一人の意識の問題であると同時に構造問題です。日本ではいま、非正規雇用者の増大が社会問題化していますが、これは問題の設定そのものが間違っています。本質的に資本主主義社会では、どこの国でも非正規雇用が基本です。そして、必要不可欠なエッセンシャルワーカーは公務員・準公務員とする。「正社員」を解雇できない国など日本くらいなのです。日本では不人気になるこの解雇規制の撤廃が必要なのはなぜか。それは、そうしないと産業構造改革が進まず社会全体が非生産的になり、結果、皆が不幸になることがわかっているからです。ここ30年余りの日本の低迷(人々の賃金が全く上がらないこと、アメリカの一部では法定最低賃金が2000円を超えたが日本では800円台の地方がある)の一番の原因です。他の先進各国は、企業は解雇を比較的自由にできるようになっています。そして、国が失業保険と再教育政策に積極投資する。不運にも会社の方針と合わず解雇された社員も2年間は国から給与を保証され、しかも、無償で再教育プログラムを受講できるようになっています。新産業へのチャレンジを国が支援する制度が整っているのです(日本の失業保険は6カ月・無償再教育プログラムはない)。社会全体で産業構造改革が進むようにデザインされています。一番大きな目的手段図式を見定め、国民の利益を達成しようとしています。日本のように、感情的に反応するだけではない。これが世界標準です。
第四次産業革命期(新しい資本主義)に、市民の自由を犠牲にせずひとりひとりを貧しくしないようにするためには理論上これしか方策はありません。役割を終えた利権ネットワークから新たな市場へ資源(ひと・もの・かね)を効率的に移すにはこれしか方法はないのです。グリーンエネルギー政策や介護職員の低給与への対処、保育園不足による待機児童問題の根も同じところにあるのです。こうした環境下で日本の企業には何が出来るのか。全社員企画職というコンセプトの裏にはこうした問題意識が存在しています・・・
少なくとも私たちのカイシャでは、社員に自律を促す仕組みを徹底させなければならないと考えています。ぶら下がり社員の存在を許してしまうことは社会への背任行為と捉えています。そうして浮かびああってきたのが内作・外作比率のデザインと全社員企画職への挑戦です。雇用は社会全体で増やせばよい。社会全体のアセット(生産力)が閾値イキチを超えたことでこうした発想が可能になったのです。時代はページがめくられつつあります。それがスマートビジネス、DXの本質です。